

アルゼンチンタンゴは今からおよそ100年前にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに生まれました。南米はこの当時、ヨーロッパから渡ってきた白人、アフリカから労働力として連れてこられた黒人達、そして原住民のインディオ系の、さまざまな人種が混ざり合い、混乱した雰囲気にありました。このような状況の中でタンゴは生まれました。黒人達の持って来たアフリカ音楽の強烈なリズムと白人らのヨーロッパクラシックの優美な旋律とが混ざり合ってできた音楽でした。
タンゴダンスはそんな中、ブエノスアイレスの港町ラ・ボカ地区から始まりました。スペインやイタリアからの貧しい移民のフラストレーションのはけ口として日頃の不満を酒場で歌い、単身で来ていた男性達が、荒々しく男同士で踊ったのが始まりだといわれています。その後、娼婦などを相手に踊られるようになり、男女で踊る現在の形が確立されました。このように貧民街のいかがわしいダンス音楽として生まれたタンゴですが、その後はダンスホールなどを中心に盛んに踊られるようになりました。
アルゼンチンタンゴは“アブラッソ”と呼ばれるホールドを組んだ男女が、男性のリードを女性がフォローする中で、情熱的な音楽に自己の世界を表現する大変美しい踊りです。この中で様々な男女のストーリーが展開されていきます。この男と女の織りなす物語、それが老若男女問わずタンゴの魅力に引きつけられる所以かもしれません。